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鼻息男って?
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「魅惑」と言えば、ふつうは「チキルーム」だ。 しかし、字をよく見てほしい。 「魅かれる」だけではなく、さらに「惑」っている。 関係者には申し訳ないが、成り行き上仕方がないのではっきり言わせてもらう。 鼻息男は「魅惑のチキルーム」に魅惑された人を知らない。 【わきみち】あれはウォルト・ディズニーさんが製作したもっとも初期の装置の一つと聞きました(本当)。だから、"まことの"ディズニーファンを自称する限り、アトラクションの原点、ディズニーランドの基本を確認するため、入園のたび必ず訪れなければならない聖地なのだそうです(嘘)。 「魅惑」というコトバは、㊞舞踊にこそふさわしい。 そして、すぐれた㊞映画は「魅惑」そのものと呼ぶにふさわしい。 「華粋流㊞映画のすゝめ その四」は、 "すゝめ"第一回のまとめとして「デーヴダース (Devdas) 」を取り上げる。 めもあやなる 「デーヴダース」という映画はとにかく美しい。 大文字で"Grand"という感じである。 「豪華」の二文字をいくら大きなフォントにしても足りないくらいだ。 出演者、衣装、群舞(振付)、画面のどれもが美しい。 アルカカットさんの解説にもあるとおり、イギリスの植民地時代のインドを舞台にした1930年代の小説を映画化したものらしく、ジャンルとしては純愛悲恋ものになるだろう。 聞いたこともないようなすごい筋立て、ではない。 しかし、ハゲシク念入りに作られている(←ここ重要)。 画面を「美しさ」だけで埋めつくそうとする勢い、と言えばふさわしいだろうか。 バンサリ監督の強迫観念(obsession)と言ってもいい。 画面の"文字通り"隅々まで、彼が脳裡に描いた色彩で埋め尽くされている。 美しくないものをすべて取り去って美しいものだけを残す「引き算」の画面もあると思うが、少なくともこの作品は、その意味では「足し算」の画面だと思う。 鼻息男がこれまでインドの美術、工芸、建築に触れた機会は少ないが、なんらかの「過剰」を感じることがほとんどだった。空間を埋め尽くそうとする傾向のようなもの。この映画にも、もしかするとそうした印度の「嗜好」が反映しているのかもしれない。 もう一度書こう。 「映画はホンの善し悪しできまる」とみんなが言うが、そしてそれは間違いではないが、映像(画面、色彩、躍動)にはそれと違う"力"があると思う。動きとともに観る音楽の魔力。 音楽と舞踊が一致した時の高揚感は目をみはるばかりだ。 女性の女性らしさを強調する衣装と振り付け。 「眼」にさえも色合いを感じる優美な表情。 踊るたび涼やかに鳴るブレスレットとアンクレット。 ㊞女性は最高だというセリフをいろんな㊞映画で耳にするが、 この踊りを観る限り、それを否定する気は微塵も起こらない。 映画の中のインドの人たちは愛国的な考え方が強いと感じることも多いが、 ㊞女性に関するこの発言にだけは、そうかもしれないなと思わせられる。 いや、こう言おう。 鼻息男は日本の女性が世界最高だと思っているけれど(本心)、 ㊞映画の中の㊞女性は、鼻息男にそう言わせる理性を鼻息男から奪う。 ㊞舞踊は「魅惑」である。 訓練の賜物だろうと思う。 その表情も、動きも、曲線美も。 ありふれた話 ありふれたストーリーで泣いていては他人に笑われてしまうのかもしれない。 それはまるで、聞き飽きていつしか忘れてしまったおとぎばなしに真剣に感動している大人の姿であって、そのおめでたさが笑われているのかもしれない。 鼻息男は、泣いてしまったよ(居直り)。 …会えなかった10年の間、決して灯を絶やさなかったランプを手にしたまま輿にのって嫁ぐパーロー。本当は好きなのに、好きでもない人に嫁ぐ羽目になってしまったパーローと、それをあえて率先して手伝うデーヴダース。 (T-T) ずび~(洟) …ふぇ~、鼻汁男です。また観て、また泣きました。いま鼻息は出ません。 伝承や民話の持つ構造を分類した人がいるとか聞いたことがある。 もしここにある人がいて、いまの世の中に満ち溢れる「作り話」がそのどれかに分類できて、どこにも分類できないもの(=新奇なもの)についてだけ感動する価値があると言っているとしよう。 もしかして鼻息男の涙と洟は無意味に流れていったことになってしまうのだろうか。 そうした鑑賞の仕方を否定するつもりはない。そういう分析に積極的な意味が見出せる場合ももちろんあるからだ。 ただ、もしその人が、作品のごくごく一部しか見ていないにもかかわらず、全体を、作品の真実を、理解した気になっているだけだとしたら、鼻息男はおおいに残念に思うだろう。 斜に構えて"鼻で笑う"のではなく、真正面で受け止めて"洟を垂らして"観てほしい。 あなたの愛する、あるいは理想の異性は、ときかれて「人間です」とこたえる人がいたとしよう。ちょっと困ったうえで、鼻息男なら、今後の付き合い方を考え直した方がいいなと思うだろう。 日に焼けていてイイだとか、産毛がかわいいとか、ひじがとがっててかたいとか、意外にも富士額だとか、まぁ、なんでもいいのだが、とにかく、数え切れないほどの相手の特徴を思い浮かべて質問に答えるのじゃないだろうか。 作品を観て、筋書き(しかもその骨組み)だけに着目していては、愛せる作品に出会う機会をそれだけ多く失うのではないかと余計な心配をしているのである。鼻息男はおせっかいなんだよ(ゴメンネ)。 想像力を駆使し、劇中の人物を愛し、作品を一つの現実として受けとめることで、より多くの、より多様な作品を愛することができるようになるだろう。 作品を愛するきっかけのようなものが色々あるとすれば、鼻息男は、それが㊞映画に"わりと多めに"含まれていると思う。それはたぶん、㊞の豊かな感情生活の賜物だろう(もちろん実際の生活上、負の側面もあるはずだけど)。 どの㊞映画にも、とは決して言わないが、この「デーヴダース(Devdas)」、そしてここで将来紹介するだろう㊞映画はどれもその意味で「高濃度」だと鼻息男は信じている。 あなたの部屋を「魅惑の"洟(ハナ)"ルーム」に変えてしまう魔力をもった㊞映画。試してみても面白いと思う。[ー、] * 華粋流㊞映画のすゝめ 第一回(1~4)をお送りしました。 それにしてもこの連載中、いつも少ない来訪者数が、輪をかけて少なかったですね(涙)。㊞映画の話がどれほどウケないか、あらためて身にしみて感じました。 ん~なんでだろう…(負けないけど)。 * 「デーヴダース(Devdas)」の入手方法につきましては、個別に(コメントなどで)鼻息男にご相談ください(ぜひ)。ちなみにインド公開版と英語版は大きく違います。だいじなだいじな歌の場面が数曲、大きくカットされてます(酷)。観るなら㊞版です。
by gyou-ten
| 2005-12-15 09:02
| ㊞:まるでインディア
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